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宮崎正弘氏 新刊
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   ―石油争奪戦の内幕』
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     476円(税別)
Market [宮崎正弘の国際ニュース・早読み]
マーケットコメント:宮崎正弘氏 [ プロフィール ]
[ 2004/01/21 ]
「地質学の帝王」=新プーチン大統領の本質
    〜ユコス、ガスプロムなど十社からの税収が国庫の半分ちかくを占める異常さ
ロシアは世界第二位の産油国にして、世界第一位の石油輸出国(昨年第四・四半期には瞬間的にサウジアラビアをぬいた)となった。
ガスも世界埋蔵の三分の一はロシアにある。そのうえ、近年のパイプライン敷設により、全ヨーロッパのガス需要の30%は、じつにロシアがまかなっているのである。

 こうして石油とガス産業は全ロシア経済の20%を占め、産油製品の55%以上は輸出に回されている。

 ユコス、ガスプロムなど大手エネルギー産業の十社からの税収だけで、国庫の半分を占める異常さである。ユコス会長だったホドルコフスキー逮捕で、不法な脱税を摘発し、おおいに税金を絞り上げるとプーチンが言ったら、国民は大歓声を挙げた。 
 
 だから西側の政治学者は言うのだ。
「プーチン大統領は地質学の帝王。政治的決定はイデオロギーではなく、ジオロジー(地質学)で世界戦略も決められる」って。

 「だがナイジェリアもベネズエラも多くの中東産油国と同様に石油を経済繁栄に転嫁できず富の分配が機能していないのはなぜか。ロシアもそうなるのではないのか」(モイゼス・ナイム論文「喪われたリンク ロシア石油の将来」、「フォーリン・ポリシー」誌、04年2月号所載)。

 そう言えば産油国の多くは経済がひ弱で失業者が都会に溢れ、スラムを形成し、石油技術や流通での雇用は高が知れている。ナイジェリアでは部族対立が続き、悲惨な内戦が終息せず、シャバス独裁のベネズエラには大統領辞任を求める民衆のデモを武力で弾圧し、キューバから治安維持部隊を二万人いれてコロンビア国境に展開しているとする情報もある。ベネズエラの石油の富は大統領一派が独占している。

 ロシアでも就労6700万人口のうちに、エンジニアを含む石油・ガス労働者は、200万人でしかない。

 98年のロシア金融危機は石油価格が1バーレル20ドルを割り込んだときに起きた。

ロシアの国内景気を国際的レベルで、石油低価格が直撃するからだ。地質学の帝王、つぎの石油価格暴落のとき、いったいどうするのか?


南太平洋は中国秘密宇宙基地、キリバスからトンガへ
    〜宇宙訓練基地を設置し、米軍のミサイル試射をスパイする拠点を移動
キリバスと台湾が外交関係を結んだことは何回か紹介した。
 地政学的変動は直後から起きた。

 キリバスには97年以来、中国の宇宙船訓練基地が置かれていた。またミサイル実験を観察する中国軍の諜報基地が密かに建設されていた。そのキリバスが台湾と国交を開き、北京を袖にしたから大変だ。

中華思想を鼓吹してきた北京としては、異常な慎重姿勢で、しばしキリバスに留まり、外交的にもそれほどの罵詈雑言をアノテ・トン新大統領に対しては吐かず、言ってみれば「沈黙」をつづけた。

理由は明白である。
第一に有人宇宙船「神負5号」を成功させた中国が、もしキリバスを失うと宇宙計画は根底的な挫折を余儀なくされる。
 代替基地をどこかに移動するにせよ時間とカネがかかる。すぐにキリバスを撤収するわけにはいかないのだ。たとえ「二つの中国」という、北京にとってみれば”屈辱的な”政治状況に耐えてでも半年ほどの時間を稼がなければならない。
 第二に米軍の防衛ミサイル試射基地のあるマーシャル諸島をスパイする衛星情報基地を北京はキリバスに保有している(マーシャル諸島とキリバス間は620マイル)。

 さて中国の次の目標が定まった。
 新しく宇宙基地を建設するのはトンガだ。
付近のフィージーやニューカレドニアなどは政権不安定なため長期の契約には不向き。トンガは98年11月に国交を結び、爾後、軍事援助25万ドル、トンガ兵の軍事訓練を人民解放軍が引き受けてきた。02年度の中国からトンガへの輸出は4800万ドル。まして宇宙通信の合弁会社APT(トンガの大統領との合弁)は、香港に設立された中国軍のダミー会社で、トンガに宇宙通信基地を設置するもようである。



[ バックナンバー ]
2004/01/21「地質学の帝王」=新プーチン大統領の本質

南太平洋は中国秘密宇宙基地、キリバスからトンガへ
2004/01/20中国と印度、将来の生産拠点はどちらが勝つか

日本の領海侵犯を「観光ルート開発」と言い換え始めた
2004/01/19台湾の住民投票へ思わぬ援軍がでてきた

2004/01/16サダム・フセインが所持していた75万ドルの紙幣番号が鍵

2004/01/15中国の経済政策、時代錯誤の極地は「国有企業に補助金」



宮崎正弘氏 筆者プロフィール:宮崎正弘(みやざきまさひろ)。評論家、作家。
 1946年、金沢生まれ。早稲田大学中退。「日本学生新聞」編集長、雑誌「浪漫」企画室長を経て、貿易会社を経営。82年、「もうひとつの資源戦争」(講談社)で論壇へ。
 以後、早期に危機を警告する「日米先端特許戦争」「軍事ロボット戦」(いずれもダイアモンド社)などで注目を集め、高い予測的中率を誇る経済もの、アメリカの内幕もので静かなブームを呼んだ。 中国ウォッチャーをしては84年「中国の悲劇」が斯界の注目となり、以後、「中国、次の10年」「中国大分裂」「中華帝国の野望」「人民元大崩壊」などを矢継ぎ早に発表、そのうち4作は中国語訳も出版され、世界のchina-watcherとしても認められてきた。
 作家としての活躍は「中国広東軍、反乱す」「中国台湾・電脳大戦」「金正日の核弾頭」など国際情勢の裏情報満載のサスペンスに新しい境地を開拓中。また金融国際戦争の核心を衝いた「謀略投機」(徳間書店)は、ヘッジファンドの嵐が吹きすさむころに書き下ろされ、大きな話題となった。
最近は時代小説のスパイ・サスペンス分野に新風を巻き起こそうと意欲作を準備中。さらに学生時代からの三島由紀夫、森田必勝との交友を通じての、回想的エッセイ「三島由紀夫『以後』」(並木書房)では広く保守論壇の注目を集め、最近作「三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか」(清流出版 )で文壇の資料的価値もある労作と評価された。

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